石岡 鈴木牧場 ヨーグルト・チーズ工房


茨城県 石岡にある小さな牧場、

「石岡 鈴木牧場ヨーグルト・チーズ工房」

 

牧場主である鈴木さんご一家が営むこの牧場では、主にヨーグルトやチーズの加工品を作っています。

 

初めて鈴木牧場のモッツアレラを食べた時、物心ついた頃からチーズが苦手な私が「おいしい...」と思ったことに自分でかなりビックリしました。

 

噂では色々聞いていたものの、実際に行って経験したものは想像を遥かに上回るものでした。

 


鈴木牧場 運命の出会い。

「お義父さんがこの牧場を受け継いだ時は普通の、一般的なやり方をしていたと思う。」

牧場を案内してくれた3代目の奥様、美登里さんが教えてくれました。

 

先代から牧場を受け継いだ2代目の鈴木 昇さんは元々獣医さん。牛が大好きな昇さんの奥様ともえさんとの結婚を機に酪農を引き継ぎます。

しかし「いかに1頭の牛からコストをかけずに多くの牛乳をとるか」ということが普通の時代。

 

鈴木牧場もそうでした。

 

生産性を重視した酪農は、牛の病気と戦う日々。

獣医だったこともあり、牛の治療なども昇さんが行っていましたが、そんな毎日は牛舎に行くのが辛くなる時もある程だったそうです。

 

「果たしてこの牛たちの牛乳を飲んで、人は健康になるんだろうか。」

そんな疑問が心の中にありました。

 

そんな悩みを解決すべく色々な講演へ出向いていた中で、鈴木牧場の今後を大きく変える、北海道の酪農コンサルタントの先生との出会いがありました。

 「健康な牛を飼う」という事をポリシーにされていた先生の言葉は過去の講演会では聞いた事のないもの。

 

そこには、昇さんが今まで抱いていた疑問の答えがありました。 

その時から、牛の為の長い長い改革が始まります。

 

牛のためのごちそう。その為の土作り。

酪農コンサルタントの熊谷宏先生との出会い。それが鈴木牧場の今後を大きく変えました。

 

先生のポリシーは「健康な牛を飼う」というもの。

その為の良い飼料、健康な土作り、堆肥づくり。

何度となく言われ目指すものの、形にするのは難しく試行錯誤の連続でした。

時には出来の悪い飼料を「捨てろ!」と言う事もあったそうです…。

 

自分で一から育てたものを捨てる事は簡単では無かったはず。

「でも、やったんですよ。全部」と美登里さんが凛とした表情でお話ししてくれました。

 

少し遠足気分で鈴木牧場に来ていた自分が恥ずかしくなってしまいました。

 

15年かけて作られたごちそう!

 

鈴木牧場に足を踏み入れると驚くのが田舎道を走ると香ってくる、あの牛舎独特の臭いがしないという事。

むしろどこからともなくい草のような良い香りが漂っています。

 

その香りの出所は牛達が食べる飼料だと、後ほど分かったのですが、ずっとこの良い匂いはなんだ!?どこから来るんだ!?とクンクンクンクンと探していました。

 

鈴木さん達が土作りを始めて10年。

それから土作り、飼料、堆肥というサイクルが出来るまで更に5年。

その15年を掛けて出来上がった牛達が食べる飼料はまさに「ごちそう」でした。良い匂いしかしないんです。

 

「夏の暑い日とかで食欲の無い子も、この草は全部完食するの。本当に甘いからデザートみたいなんだよねきっと。」

美登里さんに勧められて牛達の食べる飼料をかじらせてもらうと、ほ…ほ…本当に甘い!

思わず「甘っ!うまっ!」と言ってしまいました。

 

そして更に驚いたのはその牧草畑に入れる堆肥。

鈴木牧場の牛達の糞と地場の米ぬか、木のチップが使われているそうですが、1cmの距離まで顔を近づけてもこれまた土の様な木の様な良い匂いしかしないんです!

 

手をズボッと入れると心地いい温かさ。嫌な感じは微塵もありません。

みんなで「え!?臭くない!ってかめちゃ良い匂いする!」と堆肥に群がっていました。

 

 

15年という月日をかけて培われた土から作られる牧草、そしてそれを食べる牛たち、そこから堆肥が作られまた土へ還る。

 

鈴木牧場のチーズやヨーグルトを食べると感じる甘さ。それは健康に育った牛達のミルクだからこそ。

チーズが苦手な私も「美味しい…」と素直に思えるあの味わいは、鈴木さん達のたゆまぬ努力と、牛たちへの心からの愛情で作られているんだなぁと感動しました。

 

 

▲タイヤだけで人の背丈ほどあるトラクターで牧草を刈り取ります!

▲いい香りのする堆肥。寒い時期には堆肥の温かさで湯気が上がるそう。


牛乳の味を伝える ヨーグルトとチーズ

愛情たっぷりに育てられた牛達の牛乳。

何より健康に育った牛のお乳だから余計なものは入れる必要はありません。


鈴木牧場の代表的な製品、ヨーグルトも牛乳・乳酸菌、以上!

「牛のお乳が美味しいからね、余計なものを入れる必要がないのよ~」と鈴木昇さんの奥様、ともえさんもニッコリ。

瓶詰めも一つ一つ手作業で、瓶はリサイクルして使います。

これも「なるべくなら地球に優しい方がいいからね~」と。


43ponteでもお出ししているモッツァレラも手作り。「一つ一つ作ってるんだよ~!」というその味わいは、一番最初に食べた時「牛乳だ!牛乳が包まれてる…!」と感じた程。

本当に甘く、ジュワァ~ッとエキスが出てきます。

それもこれも全て牛を大切にする鈴木さん達の取り組みがあるからこその味わいなんだと思います。

鈴木牧場の大きな渦

鈴木牧場のこの取り組みは、牛もちろんのことその先にある人達や地域の方たち、酪農という枠を超えて畜産や農業、更には地球環境など、鈴木牧場を中心にとても大きな渦が回り始めていていました。

 

その端の端でもいいから、一緒に回ってみたいなぁと、帰り道すごく幸せな気持ちと共に何だか熱い気持ちがじわ~んと広がるのを感じるのでした。

 

鈴木牧場のヨーグルトやチーズは人を幸せにする力がある。

そんな気がします。


石岡 鈴木牧場 ヨーグルト・チーズ工房

〒300-0009  茨城県石岡市大砂10383-1

Tel:029-923-1730

close:wednesday


facebook↓